リポート
ガザ停戦から17日(1):不透明な「戦後」体制作りと思惑の相違
ガザ地区で停戦が発効してから17日がたつ。危ういながらも停戦は維持されているが、「戦後」体制作りはまったく進んでおらず、ハマースはすでに活動を再開している。本稿(1)では、今後のガザ統治に関する関係当事者間の立場の相違や国際安定化部隊(ISF)編制の問題などを取り上げ、(2)ではハマースによる支配再構築の動きや人道支援活動の困難さ、さらにガザが二分される危険を指摘する。・・・
ガザ地区で停戦が発効してから17日がたつ。危ういながらも停戦は維持されているが、「戦後」体制作りはまったく進んでおらず、ハマースはすでに活動を再開している。本稿(1)では、今後のガザ統治に関する関係当事者間の立場の相違や国際安定化部隊(ISF)編制の問題などを取り上げ、(2)ではハマースによる支配再構築の動きや人道支援活動の困難さ、さらにガザが二分される危険を指摘する。・・・
11月11日に予定されているイラクの国民議会選挙まで2週間ほどとなった。現在、イラクでは街頭に多数のポスターが貼られ、活発な選挙キャンペーンが繰り広げられている。以下では、2回に分けて今回の選挙の概要と各党の立候補状況を紹介し、選挙後の組閣プロセスについて解説する。・・・
米軍主導の民軍調整センターが始動 第2段階への着手が遅れる中、ただ一つ活動を開始したのは、イスラエル南部のキリヤトガトに開設された「民軍調整センター(Civilian Military Coordination Center、CMCC)」である。CMCCは停戦発効直後にイスラエルに派遣された米中央軍(CENTCOM)の部隊約200人が運用の中心となる組織で、10月21日にはイスラエル訪問中のバーンス米副大統領がセンターを訪れ開所式を行った。CMCCはガザへの人道支援推進のための民軍協力のハブになるとともに、停戦の履行状況をモニターするという。・・・
スンナ派政党の候補者擁立状況 スンナ派政党については、首都バグダードで最大数の候補者を擁立した政党は以下の4つのみであったことから、全体的な傾向としてシーア派政党と比べると劣勢が明らかである。いずれも基本的に、首都の他は中部5県(アンバール県、サラーハディーン県、ディヤーラ県、ニナワ県、キルクーク県)が主戦場となっている。・・・
トルコのエルドアン大統領は10月21日から23日にかけて、クウェート、カタル、オマーンの中東湾岸3カ国を歴訪した。今回の訪問では、合計24件の覚書(MoU)が締結され、二国間関係の一層の強化が図られた。また、ガザ情勢への対応でも協力を確認した。・・・
10月22日、イランのアラーグチー外相は、「地域外交」をテーマとする会議に出席すべく訪れた北東部の宗教都市マシュハドにおいて、米国との「合意の機会は何度も訪れた」にもかかわらず、「米国側の妥協を許さないスタンスがその成立を阻んだ」と述べた。これに先立つ10月20日には、ハーメネイー最高指導者がトランプ大統領のイランへの言及に対する「返答」を行っており、イランとして対米協議の糸口を探る動きが続いている。・・・
南北分断が続くキプロスの北キプロス・トルコ共和国(北キプロス)で10月19日、大統領選挙が実施された。結果は中道左派で南側のキプロス共和国(ギリシャ系)との再統合に前向きなトゥファン・エルヒュルマン元首相が62.8%の得票で現職のエルシン・タタル大統領(35.8%)を大差で破り、当選を果たした。タタル氏を支援してきたトルコのエルドアン政権にとっては痛手である。・・・
ガザ和平に関する首脳会議の開催 10月13日、エジプトのシャルム・シェイフでガザ戦争の和平へ向けた首脳級国際会議がエジプトと米国の共催で行われた。会議には、共同議長を務めたスィースィー大統領とトランプ米大統領に加え、マクロン仏大統領、スターマー英首相、トルコのエルドアン大統領、カタルのタミーム首長、インドネシアのプラボウォ大統領など29カ国の首脳・代表に加え、グテーレス国連事務総長やコスタ欧州理事会議長など国際機関のトップも参加した。日本からは岩井文男駐埃大使が出席した。紛争当事者のイスラエルとハマースは参加しなかった。開催地のシャルム・シェイフはシナイ半島最大のリゾート地で、2022年のCOP27会議など多くの重要な国際会議が開催されてきた都市である。・・・
クルドが牽引する自治勢力の諸機構を国の新体制に統合する協議が難航している。10月5日の人民議会選挙は、ドルーズ派地域とともに、自治地域で「延期」となり、6日にはアレッポ市内でクルド部隊と政府軍が交戦した。同時期に発表された国家の祝日ではクルドの新年(ネウロズ)が除外されるなど、自治勢力と暫定政権の溝が表層化している。・・・
トランプ和平計画の第1段階に合意 イスラエルとハマースは現地時間の10月9日未明、停戦や人質解放などに合意した。イスラエル政府による承認や調印などの手続きが残っているが、停戦が実現すれば、2年が経過したガザ戦争は大きな転換点を迎えることになる。・・・
10月4日、イスラエル軍に拿捕されたガザ支援船団の乗組員ら137人を乗せたターキッシュ・エアラインズの特別機がイスタンブールの空港に到着した。・・・
9月14日、アルジェリアのテブーン大統領は、現職のムハンマド・ナズィール・アルバーウィ首相を解任し、サイフィー・グリーブ産業相を新首相に任命した。また、エネルギー関連省庁が再編された。テクノクラート内閣による経済・産業開発やエネルギー制度改革が期待されるが、課題は多い。・・・
スーダンにおけるナイル川の水位上昇 9月30日、スーダン農業・灌漑省は、同国内のナイル川水位上昇について、エチオピア領内の大エチオピア・ルネサンス・ダム(GERD)からの貯水放流に起因していると発表した。スーダンでは、10月初めまでに首都ハルトゥーム南郊のナイル川河畔にある複数の村落で深刻な洪水被害が発生した。浸水地域では住居・農地が水没する被害が生じ、住民の多くはボートでの避難を余儀なくされた。同省によると、GERDからの適切な調整のない貯水放出が今後も同国のダム、農業計画、洪水管理を危険にさらす可能性があるとのこと。・・・
2025年10月5日、OPEC(石油輸出国機構)プラス(以下OPEC+)8カ国(サウジアラビア、ロシア、イラク、UAE、クウェート、カザフスタン、アルジェリア、オマーン)は、オンライン会合を開催し、11月に日量13.7万バレル(b/d)の増産を実施することを決定した。・・・
ハマースは10月3日、トランプ大統領が発表した20項目停戦案に沿って人質全員を解放すると表明した。トランプ大統領はこの表明を評価し、イスラエルとハマースは10月6日から停戦案実施のための交渉を開始することになった。トランプ大統領は早期実現を求めているが、交渉は技術的な点を含め詳細を合意する必要があり、容易ではない。・・・
サウジアラビアは、2026年度(1月から12月の暦年)予算案を発表した。同案によれば、歳入は2025年度予算比3.1%減の1兆1,470億サウジリヤル(3,059億ドル)、歳出は同2.2%増の1兆3,130億サウジリヤル(3,501億ドル)である。財政収支は1,660億サウジリヤル(443億ドル、GDP比3.3%)の赤字で、2023年度から4期連続の赤字予算となる。この傾向は当面変化なく、2028年までGDP比2~3%の財政赤字が続く見通しである。これは、2028年度頃まで若干の財政赤字が続くとした昨年の説明から変化していないが、赤字幅は2025年度をピークに徐々に縮小するとしている。また、サウジアラビアは世界経済の影響を受ける。サウジアラビア財務省は、景気が順調で石油・非石油部門が成長した場合、2026年度の財政赤字は1,070億サウジリヤルにとどまり、景気が減速した場合は2,500億サウジリヤルに拡大するとの見通しを示している。・・・
スナップバック手続きの終了 9月27日、前月に英仏独の3カ国が国連に通知していたスナップバック(イラン核合意(JCPOA)での取り決めに基づく制裁再実施)の30日間の手続き期間が終了した。米国務省は当日付で、過去の6つの国連安保理決議(1696号、1737号、1747号、1803号、1835号、および1929号)に基づく制裁が再びイランに科されたとの国務長官声明を発表した。これらの安保理決議は、イランの核開発ないし軍事的活動に関する制限措置を定めたものであるが、翌28日以降、EUや英国による対イラン経済制裁強化に向けた動きが出てきている。・・・
拒否か受け入れか、ハマースのジレンマ 現時点でハマースが停戦案にどう対応するのか不明だ。本リポートその1で述べたように、停戦案の内容はほぼイスラエルの主張に基づいたもので、ハマースのこれまでの主張(段階的な人質解放、恒久的停戦、イスラエル軍のガザからの完全撤退)はまったく考慮されていない。もし人質全員を解放すれば、ハマースはイスラエルに対する有効な「カード」を失ってしまう。・・・
トランプ米政権は9月29日、ガザ戦争に関する20項目の停戦案を公表した。同日、ホワイトハウスでトランプ大統領と会談したネタニヤフ・イスラエル首相は停戦案の受け入れに合意した。一方、停戦案を受けとったハマースは検討すると表明した。ただ停戦案の内容はかなり曖昧で、例えハマースが受け入れたとしても、実際にどう履行されるのか不明点が多い。・・・
トルコのエルドアン大統領は、9月22日から25日まで米国を訪問し、国連総会に出席するとともにワシントンのホワイトハウスでトランプ大統領と会談した。エルドアン大統領のホワイトハウス入りは6年ぶりで、前回は第一次トランプ政権下の2019年だった。・・・