2017年03月14日

中東研ニューズリポート

サウジアラビア:日・サウジ・ビジョン2030に合意

執筆者

永田 安彦

カテゴリー

政治, 経済

地域・テーマ

サウジアラビア
 3月13日、訪日中のサルマーン国王と安倍首相は首脳会談で「日・サウジ・ビジョン2030」に合意した。同ビジョンは両国間で昨年9月以来協議を重ねて、二国間協力の基本的な方向性と具体的なプロジェクトをとりまとめたものである。

同ビジョンの骨子


経済産業省によると、同ビジョンの骨子として以下の点があげられている。
1) 脱石油依存と雇用創出のためサウジが追求する「サウジ・ビジョン2030」と日本の追求する「日本の成長戦略」のシナジーを目指す
2) シナジー最大化のため、「多様性」、「革新性」、「ソフトバリュー」の3本柱からなる日本ならではの総合的な協力とする
3) 日サの41省庁・機関が参加し、具体的連携の重点分野として9分野にまたがる広範な協力分野を設定
4) 31件の選好プロジェクトを選定し、実施
5) サウジ経済特区の設立に向けて検討
6) 東京とリヤドにビジョンの実施をフォローする拠点として、「日・サウジ・ビジョンオフィス」を新設

日本企業のサウジ進出


 報道では、トヨタ自動車、JXエネルギー、東洋紡などによる協力が報じられている。トヨタ自動車はサウジへの工場進出の事業化調査に乗り出すことが報じられ、JXエネルギーについては、Saudi Aramcoと製油所事業などで提携の検討を始めるとした。東洋紡は淡水化技術の共同開発などで協力する。

 サウジの現地紙Arab Newsは3月14日、トヨタ自動車が工場進出の検討を行っていることについて、自動車産業の内製化への重大な第一歩であり、サウジの輸送部門にプラスの効果を持つと報じた。

経済特区の設置


 サウジ国内で工場や研究開発拠点を誘致する地域を特区に指定し、規制緩和、税制の優遇、インフラ整備などの環境整備を行うことを検討する。

 自動車産業の特区では、工場新設にかかる煩雑な手続きを減らしたり、日本から運ぶ部品への関税をなくしたりすることが想定されている。なお、サウジではいすゞ自動車が既に進出して大型トラックの組み立てを行なっている。

サウジの現地メディア


 サウジ国王として46年ぶりの日本訪問について、地元メディアは「世界でも最も成長している経済の一つにサウジがアクセスする歴史的な転換を表す」「日本への訪問は経済の次元を引き上げ、サウジの地域での経済の指導力をさらに強化する」と報じている。

Aramco IPO


 2018年に計画している国営石油会社Saudi Aramcoの新規株式公開(IPO)ではニューヨーク、ロンドンなどが有力とされているが、東京も上場先として誘致に名乗りをあげており、日本からもその要望が出された。

脱石油依存


 サウジは2016年の実勢見込みで財政に占める石油収入の比率は62%と以前よりは低下しているものの、依然として政府歳入の石油輸出への依存度は高い。原油安が長期化するとの見通しもあり、今回のサウジ国王訪問を契機として、サウジは経済の分散化を加速させたい意向である。