2017年04月05日

中東研ニューズリポート

イラン:米ボーイングが30機納入でアーセマーン航空と合意

執筆者

坂梨 祥

カテゴリー

政治, 経済

地域・テーマ

イラン, 米国、カナダ
 4月4日、米ボーイング社はそのウェブサイト上で、イランのアーセマーン航空との間で小型旅客機「737MAX」30機(カタログ価格で総額30億ドル、納入は2022年に開始)を受注することで合意したと発表した。本合意には、アーセマーン航空が737MAXをさらに30機購入する権利も盛り込まれた。

 ボーイング社の発表によれば、同社のアーセマーン航空との交渉は米国政府の許可を得て行われ、本合意を実現に移すためには、米財務省外国資産管理室(OFAC)の承認を得る必要がある。ボーイング社は声明で、本合意は米国内に約1万8,000の雇用を生むものであり、すなわち米国全体にとっての利益であることを強調した。

 一方でアーセマーン航空のウェブサイトには、ボーイングとアーセマーン航空の代表の立ち会いのもと、4日にテヘランで実施された本合意の署名式典の様子が掲載されているほか、今回の合意は「過去1年にわたる交渉の賜物」であること、また、737MAX機の購入予定数は60機であることなどが綴られている。

 アーセマーン航空は、1979年の革命前から存在した航空会社4社を統合し、1980年に設立された。当初は政府の管轄下に置かれていたが、2002年に公務員年金基金に売却された。そのウェブサイトによれば、同社は現在、国内40路線、海外13路線に就航しており、保有機数からいえば、イラン航空およびマハーン航空に次ぐ国内3位の航空会社である。

 イランでは来月5月19日に大統領選挙を控え、ロウハーニ大統領が再選を決められるか否かが注目されている。ロウハーニ師の有力な対立候補が不在とされる中、「ロウハーニ大統領の最大のライバルは現政権の経済パフォーマンスである」との声も聞かれており、ロウハーニ政権は核合意の「目に見える成果」を求めている。

 今回のボーイングとアーセマーン航空の合意は、昨年12月のイラン航空によるボーイングおよび仏エアバス社との大型契約に続く、大きな成果であるといえよう。イランに厳しい姿勢を取るトランプ政権の発足によって、ボーイング社とイラン航空の契約の行方も、一時危ぶまれていた。しかし、今回のアーセマーン航空との合意からは、「旅客機の対イラン輸出はJCPOAが維持される限り可能であり、全体的な状況から見てJCPOAは維持され得る」とするボーイング社の判断が、明らかになったと言うことができよう。