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    ヒジュラ暦について
    イスラーム暦の月名と行事

ヒジュラ暦について

 ヒジュラ暦はイスラーム世界の公式の暦で、イスラーム暦とも呼ばれる。
 預言者ムハンマドのヒジュラがあった年の第1月1日(西暦622年7月16日)を元年元日とする純粋な太陰暦で、新月から次の新月までを1カ月(29日か30日)とする。
 従って1年は354ないし355日となるので毎年10-12日ずつ太陽暦とのずれが生じ、季節との一致は見られない。
 また、月の開始は目視による新月の観測で判断することになっており、天候その他の要因から、地域によって月の開始がずれることもある。
 ムスリムの間ではラマダーンや預言者聖誕祭などイスラームに関わる行事は全てヒジュラ暦に則って行われるが、前近代では年齢計算や歴史記述でもこの暦に従っており、現代でも新聞などでは西暦と並んで併記されることが多い。

イスラーム暦の月名と行事

■第1月 ムハッラム/Muharram

10日 アーシューラ/Ashura
 「Ashura」は、アラビア語で10を表す語から派生。ヒジュラ暦61年のこの日、預言者の孫で12イマーム派でいう第3イマーム、フサイン一行がカルバラーで殺害されたことから、シーア派信徒はイマームの殉教を哀悼する行事を行う。 アーシューラの行事では、詩や語りでカルバラーの悲劇を再現し、体を叩いたり、時には自らを傷つけ、涙を流し、泣き声をあげて追悼の意を表現するのが基本的パターンである。
■第2月 サファル/Safar

■第3月 ラビー・アルアウワル/Rabi' al-Awwal

12日 預言者聖誕祭(マウリド・アンナビー/mawlid al-nabi)
 預言者ムハンマドの誕生日を祝って催される祭。生誕日の一カ月前あたりからスーフィー教団を中心に、預言者を称える様々な儀礼やクルアーンの朗読、賛歌のパフォーマンスなどが行われ、祭気分を高める。 生誕日の前日の午後には、スーフィー教団の街頭行進が行われ、それからライラ・カビーラ(大いなる夜)と呼ばれる夜にかけて、祭はクライマックスになる。
■第4月 ラビー・アッサーニー/Rabi al-Thani
■第5月 ジュマーダ・アルウーラー/Jumada al-Ula
■第6月 ジュマーダ・アルアーヒラ/Jumada al-Akhira

■第7月 ラジャブ/Rajab

27日 昇天(ミウラージュ/miraj)
 ムハンマドはある夜、天に昇りアッラーの御許まで達し、再び地上に戻ったとされ、この伝承がアラビア語でミウラージュと呼ばれる。ムハンマドが天に昇った場所はマッカとも考えられたが、後世エルサレムとする伝承が生じて主流となった。昇天はムハンマドの死とは無関係である。
■第8月 シャーバーン/Shaban

■第9月 ラマダーン/Ramadan(断食月)

21日以降の奇数日(ライラ・アルカドル/layla al-qadr)
 「断食」は信仰行為の一つで、暁から日没まで飲・食・性を断つこと。飲食だけではないため、「斎戒」との邦訳もある。ラマダーン月の断食は義務の断食で、成年男女で健康な者は全員が一ヶ月の断食を行わなくてはならない。
■第10月 シャウワール/Shawwal

1-3日 断食明け祭(イード・アルフィトル/id al-fitr)
 イードはイスラムの祭で、第10月の断食明け祭(イード・アルフィトル)と第12月の巡礼祭(イード・アルアドハー)がイスラムの2大祭とされている。断食明け祭は小祭とも呼ばれ、朝に集団でイード礼拝をし、特別な喜捨を行ったりする。当日を含め3-4日ほどは休日になり、親族、隣人、友人などを訊ね合う。
■第11月 ズー・アルカーダ/Dhu al-Qada

■第12月 ズー・アルヒッジャ/Dhu al-Hijja(巡礼月)

巡礼(ハッジ/hajj)
 マッカへの巡礼はハッジとウムラとがあるが、一般に巡礼と言えばハッジをさす。ハッジは第12月上旬から中旬にかけて行われ、大巡礼とも呼ばれる。(ウムラは小巡礼とも呼ばれ、五行には含まれず、随時行うことが出来る。) 無事に巡礼を終えた者は故郷で尊敬の意をもって迎えられ、社会医的威信は高まり、ハーッジュ(女性はハーッジャ)という尊称で呼ばれる。
10-13日 犠牲祭(イード・アルアドハー/id al adha)
 イードはイスラムの祭で、第10月の断食明け祭(イード・アルフィトル)と第12月の巡礼祭(イード・アルアドハー)がイスラムの2大祭とされている。犠牲祭は大祭とも呼ばれ、朝に集団でイード礼拝をし、動物の伴儀を行ったりする。当日を含め3-4日ほどは休日になり、親族、隣人、友人などを訊ね合う。
   
 出典:大塚和夫ほか編『岩波イスラーム辞典』(岩波書店)