OPEC総会の記録 1998年

第104回OPEC臨時総会(1998年3月30日)

English

オーストリアのウィーンで開催された第104回OPEC 総会は以下等のコミュニケを採択した。

  1. 総会の新議長にアラブ首長国連邦のナセリ石油鉱業資源相を選任。

  2. OPEC加盟諸国は、需要が予想を下回ったこと、しかし何より供給が過剰であったことによって、今冬の原油市況が非常に悪化したと認識している。

  3. 石油市場の安定を図るため、OPEC加盟諸国は1998年4月1日から年末まで、現在の産油量から以下のような削減を行うことで合意。


    1998年2月
    産油量
    削減
    決定量
    減産後
    産油量
    サウジアラビア 8,748 300 8,448
    イラン 3,623 140 3,483
    クウェート 2,205 125 2,080
    UAE 2,382 125 2,257
    カタル 700 30 670
    ベネズエラ 3,370 200 3,170
    ナイジェリア 2,258 125 2,133
    インドネシア 1,380 70 1,310
    リビア 1,453 80 1,373
    アルジェリア 868 50 818
    合計 26,987 1,245 25,742
    メキシコ*
    100
    オマーン
    30
    ロシア*
    61
    イエメン
    10
    ノルウェー
    100
    総計
    1,245
    (単位:1,000b/d)
    *生産ではなく輸出からの削減量。

  4. 削減量の基礎となる産油量は、選択された二次ソースの1998年2月産油量である。

  5. これらは新生産割り当て決定を意味するものではなく、あくまでも1998年末までの一時的な生産削減である。

  6. イラクはこの合意には参加しない。

  7. 総会は、幾つかの非OPEC産油国、特にオマーン、メキシコ等が生産削減を確約したことに謝意を表するとともに、石油市場の安定を図るため、非OPEC産油国との協議を継続していくことで合意。

  8. 総会は他の非OPEC石油輸出国に対し、産油量削減によって市場を安定化させるという、今回の処置を支援するよう要請する。

  9. 次回の定例総会は1998年6月24日にオーストリアのウィーンで開催。

訳者注:世界の原油市況は1997年11月末の第103回OPEC総会直後から下落を開始し、前回総会前には19$/b程度を維持していたドバイ原油スポット価格は、1998年3月央には10$/bを割り込むなど約10年ぶりの安値を記録した。この市況の悪化は、多くの石油輸出国が許容できる底値水準を下回り、減産に非協力的なOPEC、非OPEC産油国に政策転換を促すものとなった。このような中で、3月21、22日にサウジアラビア、ベネズエラ、メキシコ3カ国石油相会談がリヤードで実現しOPEC、非OPEC合わせて170万〜200万b/dの協調減産に取り組むことで合意した。このリヤード合意を受け、今回の臨時総会の非OPECを含めた広範な減産合意が成立することになった。

第105回OPEC総会(1998年6月24日)

English

オーストリアのウィーンで開催された第105回OPEC 総会は以下等のコミュニケを採択した。

  1. 総会の新議長にアラブ首長国連邦のナセリ石油鉱業資源相を、副議長にナイジェリアのエテテ石油資源相を選任。

  2. 現在の石油市場の情勢に鑑み、総会はイラクを除く加盟国の追加減産を決定し、1998年2月の生産基準から260万b/d減産することを決定。


    1998年2月
    産油量
    削減
    決定量
    減産後
    産油量
    サウジアラビア 8,748 725 8,023
    イラン 3,623 305 3,318
    クウェート 2,205 225 1,980
    UAE 2,382 225 2,157
    カタル 700 60 640
    ベネズエラ 3,370 525 2,845
    ナイジェリア 2,258 225 2,033
    インドネシア 1,380 100 1,280
    リビア 1,453 130 1,323
    アルジェリア 868 80 788
    合計 26,987 2,600 24,387
    メキシコ*1
    200
    オマーン
    50
    ロシア*1
    100
    エジプト*2
    30
    イエメン
    10
    ノルウェー
    100
    総計
    3,090
    (単位:1,000b/d)
    *1:生産ではなく輸出からの削減量。
    *2:第104回総会で7月1日からの削減で合意していたもの。

  3. この合意は1998年7月1日から発効し、1年間継続される。加盟国はこの合意を遵守(じゅんしゅ)することを強調する。

  4. 総会は非OPEC産油国が1998年3月以来計50万b/d以上の減産を表明したことに感謝する。うち20万b/dはメキシコ、10万b/dはロシア、5万b/dがオマーンである。これを含め、減産量の総計は310万b/d以上になる。

  5. 次回の定例総会は1998年11月25日にオーストリアのウィーンで開催。

訳者注:OPEC諸国はこの6月総会で、1998年度に入り二度目の減産を決定した。前回の協調減産によって原油市況は3月央の水準から多少回復したものの、もともと減産幅が不十分であるとの認識やイラク原油輸出量の相対的増加などにより、OPEC各国が期待するほどの市況回復は実現できなかった。この結果、より大きな減産を求める機運がOPEC諸国の中で高まり、前回からわずか3カ月で追加減産に踏み切るにという結論に至った。

第106回OPEC総会(1998年11月25〜26日)

English

オーストリアのウィーンで開催された第106回OPEC 総会は以下等のコミュニケを採択した。(意訳)

  1. 総会の議長にアルジェリアのユースフィ・エネルギー鉱物相を、副議長にカタルのアティヤ・エネルギー産業相を選任。

  2. 非OPEC石油輸出国のメキシコ、ロシア、オマーンからの代表者を歓迎。

  3. 総会の年2回の開催時期を6月・11月から、3月・9月に変更する。

  4. 総会は石油価格の状況により、次回の総会で何らかの適切な態度をとることを決定した。

  5. 次回の定例総会は1999年3月23日にオーストリアのウィーンで開催。

訳者注:OPEC加盟国は1998年7月以降1年間、合計260万b/dの強調減産体制を敷いている。しかし、その後の石油価格が当初の期待通り回復しなかったため、追加措置の必要性が論じられるようになったのであるが、今回の総会では追加措置に関しては合意を得ることができなかった。ベネズエラの現政権が、追加措置に関する合意は新政権(12月の大統領選で政権交代)に委ねたいという理由で、今総会での合意を拒否したためである。また、イランが主張する減産基礎産油量の問題も大きな壁となった。



(仮訳)
財団法人 中東経済研究所