OPEC総会の記録 1997年

第102回OPEC総会(1997年6月25日〜26日)

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オーストリアのウィーンで開催された第102回OPEC 総会は以下等のコミュニケを採択した。

  1. 総会の新議長にカタルのアティヤ・エネルギー産業相を、副議長にインドネシアのスジャナ鉱業エネルギー相を選任。

  2. 1997年末まで、現行の2,503.3万b/dの生産上限および加盟各国の生産枠を据え置く。

    生産上限(第101回総会合意)
    サウジアラビア 8,000
    イラン 3,600
    イラク 1,200
    クウェート 2,000
    UAE 2,161
    カタル 378
    ベネズエラ 2,359
    ナイジェリア 1,865
    インドネシア 1,330
    リビア 1,390
    アルジェリア 750
    合計 25,033
    (単位:1,000b/d)

  3. 加盟各国の適切な水準の歳入を維持するため、市場の安定性を確実なものとすることを決意し、今後数カ月間の生産量を厳重に監視する。また加盟各国は本合意について確約することおよび合意した生産割当水準へ生産量を抑制することを強調した。

  4. 次回の定例総会は1997年11月26日にインドネシアのジャカルタで開催。

訳者注:
 1997年前半の原油市況は、イラクの市場一部復帰、製品在庫の増加などにより急落した。このため超過生産問題が浮き彫りにされた形となり、コミュニケには生産上限の据え置きとともに、各加盟国が「合意した生産割当水準へ生産量を抑制することを強調した」という従来にない強い語調の声明が盛り込まれた。
 生産上限については、下落する原油価格を憂慮し、生産超過を抑制して現行の生産上限を据え置くべきであるという意見が強くなる一方で、生産超過国であるベネズエラの国営石油会社PdVSAが「現行のOPEC生産上限システムはもう古い」と発言するなど、OPEC内の不協和音が高まりつつあった。このような状況では、OPECにとって大きな波風を立てることなく現行生産枠を継続することが唯一の選択肢となったと考えられる。
 また超過生産問題については、ベネズエラなど超過生産国のOPEC脱退も最悪のシナリオとしてありうる状況では、具体的な制裁措置はきわめて危険であるとみられていた。このためまずそれぞれの国が超過生産を行っている事実を認め、超過分削減の協調を求めるコミュニケを発表する事により、超過生産問題解決へのアピールを行った。

第103回OPEC総会(1997年11月26日〜12月1日、ジャカルタ)

English

インドネシアのジャカルタで開催された第103回OPEC 総会は以下等のコミュニケを採択した。

  1. 総会の新議長にインドネシアのスジャナ鉱業エネルギー相を、副議長にアラブ首長国連邦のナセリ石油鉱業資源相を選任。

  2. 1998年の理事会の会長にクウェートのラズーキ理事を、副会長にリビアのフィツーリ理事を選任。

  3. イランのザンギャネ石油相を委員長とする閣僚監視委員会を再編成し、委員としてクウェートのマズーディ石油相、ナイジェリアのエテテ石油資源相、ルクマンOPEC事務局長を選任。

  4. 市場状況を勘案し、1998年1月から発効する1998年上半期のOPEC生産上限を2,750万b/dと設定することに合意し、加盟国はこの生産上限とそれぞれの国の生産枠遵守(じゅんしゅ)を約束。


    生産上限
    サウジアラビア 8,760.53
    イラン 3,942.24
    イラク 1,314.08
    クウェート 2,190.13
    UAE 2,366.44
    カタル 413.94
    ベネズエラ 2,583.26
    ナイジェリア 2,042.30
    インドネシア 1,456.44
    リビア 1,522.14
    アルジェリア 908.50
    合計 27,500.00
    (単位:1,000b/d)

  5. ルクマン事務局長の任期を1998年1月1日から3年間延長。

  6. 次回の定例総会は1998年6月24日にオーストリアのウィーンで開催。


訳者注:超過生産問題で揺れた前回の第102回OPEC総会における協議過程では、今総会で各国の超過生産を問題とするはずであった。しかし、超過生産を吸収するであろう旺盛な世界需要の予測と、それによる堅調な原油価格推移、総会前のナイミ・サウジアラビア石油鉱物資源相の生産上限引上げ提言などにより議論の方向が大きく変わり、今総会では1993年以来据え置かれていたOPEC生産上限が4年ぶりに引き上げられることになった。



(仮訳)
財団法人 中東経済研究所