中東経済研究所 情勢分析 (2000年11月24日Vol.2, No.15)
米国:中堅石油会社は合併よりも上流部門取得を模索
石油メジャーが統合を進めていく中、Phillips、Occidental、Amerada Hessなどの米国中堅の一貫統合型石油会社は、メジャーほどの合併効果が期待できないとの判断から、お互いに合併するよりも、利益率の高い上流部門を独自に獲得することで活路を見出そうとしている。彼らは精製部門あるいは石化部門を縮小し、開発・生産活動を拡大させる戦略を推し進めている。
Hessは11月6日、イギリスのLasmoを350億ドルで買収することを明らかにした。これにより同社は8.3億boe (石油換算バーレル)の埋蔵量を追加し、2001年の生産量は現行の37.4万boe/dから57.4万boe/dに拡大する見込みである。また、総資産に占める生産・開発部門の比率は1997年の43%から76%に増加する。また2000年初めに、PhillipsはArcoのアラスカ資産 (30万b/d以上)を70億ドルで獲得した。OccidentalもShellとBPから西テキサスの生産会社 (Altura Energy)を36億ドルで買収している。さらに、これら中堅石油会社はここ数年で、利益率の低い下流部門の資産売却も進めてきた。Phillipsは上流開発に資本を傾注するため、同社の石化や精製ビジネスに資本参加するパートナーを積極的に受け入れており、Occidentalも2000年6月に石化部門の売却を発表している。(島末)