中東経済研究所 情勢分析 (2000年11月24日Vol.2, No.15)

カザフスタン:パブロダール製油所株式の過半が民間保有に

 

 Petroleum Argus FSU Energy誌(2000.11.10)によると、かつてはカザフ政府が100%保有していたパブロダール製油所 (16万2000b/d)の株式の51%を、最近、民営石油企業でナザルバエフ大統領の一族が実権を握っていると言われているMangistaumunaigaz社(MMG)が保有するようになった。同製油所は、カザフスタンの3つの製油所中最大で、かつ旧ソ連で最も進んだ製油所の一つである。かつて同製油所は、1997年3月から5年間の利権契約によって、米国籍のCCL Oilが運営していた。しかし、CCL が原油の入手に失敗したことから、この契約は破棄されている。もっとも、CCL筋の指摘では、同製油所が原油代金を払えなかったのは、政府が製品価格に上限を定めたからだという。本件は現在、仲裁手続き中である。CCLはもともと政府持株についての優先引き取り権を有していたが、実際にはMMGが同製油所の既往債務を引き受けて1999年10月に同製油所株式の30%を入手した。さらに最近、MMGは同製油所の原油累積未払金70億テンゲ (5000万ドル)を支払って追加の21%の株式を入手した。

 もともとはソ連石油ガス工業省に付属する石油生産公団として設立されたMMGは、ソ連崩壊後の1997年に株式会社化された。現在同社は、カスピ海東岸のマンギスタウ州内の16の油田で採掘権を有して、8万5000b/dを生産している。MMGの株式の60%はインドネシアのCentral Asia Petroleum、30%はカザフ政府、10%は従業員が所有していることになっている。しかし、地元筋によると、Central Asia Petroleumはアジア金融危機の際に、株式を秘密にナザルバエフ一族に売却したらしい。(遠藤)