(速報、2000.02.08)

 


石油がサウジの登録商標であることを忘れた日本

al-Riyadh, 2000.02.08, p. 6(論調)
(署名無し)

 日本のアラビア石油の利権協定更新に関する王国と日本の協議にまつわる長い話は、日本人にとり悲しい、つまり彼らにとり海外で最も重要な石油資源を失うという結末!(感嘆符は原文通り)で幕をおろすことになりそうである。それだけではない。その石油は、世界で最重要な地域、最後の1バーレルまで世界の他の地域に送り出す聖域、唯一の希望の地から運ばれているのである。その後、石油はサウジの登録商標になっている!!(2つの感嘆符は原文まま、以下同様)

 アラビア石油は民間部門に属しているにもかかわらず、1990年代初頭から、日本政府は、自ら利権交渉を統率しようと躍起になっていた。しかし、石油という極めて重要な戦略商品は、日本政府をして公的な関心をもって利権協定更新問題を継続的に統率させしめた。それは、日本の企業が海外に投資するときに日本政府が通常語るところを超越していた。

 しかし、日本が犯した重大な過ちは、この関心を実行に移さなかったことである。日本の致命的な間違いは、例えばカリブに浮かぶ一つの島に物資を輸出する商談が持つ重要性と、世界最大の埋蔵量を持つ国から石油を生産する利権協定を継続的に更新することとを区別できなかったことである!!

 日本人は情熱的で、物事に細かく、会議が多く、決断が遅いことで知られている。これらは、日本人について、皆が知っている特徴である。特に欧米人は、日本の交渉方法について、よくジョークを言うのである。アメリカ人によれば、日本人は、交渉が思い通りにならないとき、苦境から脱出するために、英語がわからないふりをする・・・ほかにもある!!

 この独特のやり方には、そうする理由、動機、背景があるかもしれない。しかし、日本に大きな利益を生まない障害に方向を変えるということは、奇妙なことである!同様に、それが、日本のアラビア石油の利権協定更新に関するサウジと日本の協議であったら、一層奇妙である!この件について詳細に立ち入る必要はない・・・我々の多くは、ほかにもっと奇妙なことを沢山知っている。

 石油問題におけるサウジと日本の協議の話で最も重要な歴史的詳細は、ほかの国際的企業が、提供された場所が生み出すものによだれを流しているときに、世界で最も重要な石油地帯にある石油利権から日本が撤退するということである!!

 日本の交渉団は、サウジ交渉団と、日本が無視し続けたほかの物事とは(物事と比べると)重要性がずっと小さな項目(複数)で、意見を異にした!!それらは例えば、鉄道建設と、対日原油輸出量である。すなわち、鉄道は投資か、融資か、利権に対する見返りか。あるいは、対日原油輸出量はこの数字か、あの数字か!!

 王国の立場は、端的に言えば、利権更新は、王国が被る50億ドル(この数字の根拠については日曜日2/6付けの本紙で明かした)の費用(を日本が補償すること)を含むということである。世界銀行が(中立的立場として)、(これら事業に採算性があるとする)調査をした以上、この費用を、原油輸入増量と石油化学分野への投資と北部での鉄道敷設という形式で王国に補償することは絶対である。

 王国は、この件について、日本が負担する贈与や援助ではなく、双方に利益が還元される共同投資にすることで合意しようと明らかにした。なぜならば、投資活動は双方に有益であるからだ。しかし、それにもかかわらず、日本はこれを拒否し、かたくなで非常に奇妙な態度に固執した。

 サウジの国益を実現し、多様な経済関係で結ばれた友好国の利益を傷つけない(観点から発する)サウジの交渉の立場は、際限なく真実である・・・しかし日本の交渉者(複数)は、王国が日本の利権が2月27日に終了するところの地域で石油の生産を行うために広い選択肢を持つとき、その利益を失うのである。

 王国で今準備されている(それが唯一ではない)選択肢とは、Saudi Aramco社が生産施設を接収し、サウジ原油輸入社との間の契約上の義務を果たすというものである。世界最大の石油会社であるSaudi Aramco社はそれを成し遂げることができるだろう。同社は最近、協議がもたらすいかなる環境にも対応して必要な措置を取ることができるよう準備をはじめた。日本のアラビア石油がSaudi Aramco社と大きく異なることは決して秘密ではない(これは、両社におけるサウジ人技術者が詳細を知っている悲しいお話なのだ)!!

 要するに、日本人は、「ケーキを持つことと食べることは同時にできない」(You can't have your cake and eat it)という西欧のことわざを忘れたということだ。日本人は、石油利権を保持しようと血眼になった。しかしその対価を払いたくはなかった!!我々は、経済を知り尽くしている日本人たちに次のように言う。感情の上に成り立ったり、交渉当事者の片方が採用する協議方法に結びついたりしない価値が、利権にはあるのだ。

 サウジ交渉団は、日本側が全て承知しなければならない金額のリストを提示した。また、多くのシナリオを示し、日本がそのうちの一つを選ぶよう求めた・・・しかし、日本の友人たちは、ケーキを食べ、そして同時に持とうとした・・・これは不可能である。

 私は、この問題について日本の新聞(複数)が書いたもののいくつかの翻訳を読んだ。その翻訳は、私に再度、日本の交渉者(複数)は、交渉の雰囲気を妨害するためにマスコミに情報をリークさせるという重大な過ちを犯したと確信した。しかしこれは別の話である!!

 このあと、ある重大な事実が残される。それは、日本は王国にとり重要な通商パートナーであり続けるだろうということだ。日本への原油輸出は以前と同じ重要性を有しつづける・・・日本からサウジへの輸入は止まることはないだろう。もし我々が、我々と日本が、日本人がサウジ市場に入る前から諸国が採用していた自由経済思想を尊重するならば、この思想は、限りない選択肢が存在する分野が我々と彼らに対し与えられる思想である・・・最後には提案と要求が物事を決めるのである!!経験は我々に、市場環境がほかの時代と(比べ)いかに変化しようとも、石油への要求(需要)それ自体は無比であると教えた。


(翻訳:伊丹 和敬)