(速報、1999.10.07)

 


日本貿易振興会(JETRO)事務所長が本紙と会見

日本は中立地帯におけるアル・カフジー利権契約の責任を全て果たした

リヤード発ムハンマド・ナジーブ・サアド記者
al-Hayat, 1999.10.07, p. 11(経済面トップ)

 サウジにおける日本人責任者は、クウェートとの中立地帯にあるアラビア石油(アル・カフジー)の利権契約の条件として定められている全ての責任を、日本は果たしたと語った。彼は、アル・カフジーは人口が限られた小さな町であり、日本がアル・カフジーで実行したことと、アメリカ人がダムマーム(ダンマン)で実行した開発とを比較することはできないと指摘した。

 日本貿易振興会(JETRO)リヤード事務所長である川島登(かわしま・のぼる)氏は、リヤードで本紙に対し、日本は、様々な指摘があるものの、米国に次ぐ第2の対サウジ投資国であるが、「我々は自己ピーアールが上手ではない」と述べた。彼は、日本は集団指導制であるため、意思決定は他国よりも遅いが、「我々は実行面では一番早い」と指摘した。

 川島氏は、日本が発電所、海水淡水化基地、石化など重要なプロジェクトのために40億リヤール(約10億7000万ドル)(訳者注:単位が異なるが原文まま)の投資を提示しているにもかかわらず、「なぜサウジは、アラビア石油の契約更新との引き換えとして鉄道建設に固執するのか」と疑問を投げかけた。彼は、本件はまだ検討中であると指摘した。

 彼は、日本の対サウジ投資が少ない理由は、ビザ、住居、スポンサー、その他の、サウジにおいて操業者を取り巻く投資、法環境に起因すると強調した。

 彼は、その要因は沢山あると述べ、以下の実例を挙げた。整備された工業都市が無いこと。電気、水、通信といったサービスが欠如していること。免税措置が十分でないこと。現在サウジは、生産開始日からではなく、設立日から数えて10年間の免税措置を1回与えている。地理的要因として両国が遠く離れていること。そして、サウジにおける投資情報が不足していること。

 その一方で、川島氏は、対サウジ投資の最大の利点は、政治が安定していること、電気と水が安いことであることを明らかにした。ただし、西部では水と電気が不足していると付け加えた。

 そして、彼は、サウジの政府および非政府が設定した様々な会合において、これら全ての問題点が話し合われたと指摘した。

 川島氏はサウジに対し、日本が情報提供を通じて両国間の投資促進を図るため、JICAおよびJETRO事務所を(サウジに)開設したように、日本のビジネスマンに情報提供する目的の事務所を日本に設立するよう提案した。

 また彼は、日本政府は、民間部門に対し特定国に投資するよう強制することはできないとし、サウジが、イラン、エジプト、ドバイからの大きな競争に目を向け、他国の法律と対抗できるような投資法を整備するよう呼びかけた。

 サウジが、安価な労働力、原材料、インフラといった最適な投資環境を整備することについて、川島氏は次のように語った。サウジでは電気料金は安いが、特に西部において電力と水が不足していることは誰もが知っている。また労働力については、外国から(出稼ぎ労働者として)来ているため、彼らの母国では安いはずなのに、(同じ人物がサウジでは賃金水準が)高い。原材料について、石油化学に限り原料が最も安いことは疑いがないが、その他(の分野)については諸外国と比べて原材料費が高い。

 サウジのWTO加盟問題に関する日本の支援について、川島氏は、日本はその問題についてサウジを支持していると明言し、「Saudi Arabian Standards Organization (SASO)が、その件で支援をあおぐため、かつてWTOで働いていた人物を東京大学からJICA日本人専門家としてサウジに派遣してほしいと要請したことについて、(リヤードにいる)我々JETROとJETRO東京本部で現在情報を準備している」と語った。


(翻訳:伊丹 和敬)