(速報、1999.08.29)
中立地帯での利権延長の見返りとして、日本はサウジでの40億ドルの投資を提示
al-Hayat 1999.08.29, p. 9(経済面トップ)
アル・ジュバイル発サアド・アル・ガーミディー記者
リヤード発アル・ハヤート編集部
本紙に近い産業筋が明らかにしたところによると、日本はアラビア石油を通じ、次期契約期間中にサウジに40億ドルの投資をすると提示した。この提案は、サウジとクウェートの間にあるアル・カフジー中立地帯での石油生産利権契約更改のため、サウジ側に示されたものである。
同筋は、提示された金額は、日本がサウジに対し過去3回分の契約期間に投資した総額に匹敵すると語った。
さらに同筋は、日本の現在の立場は、ボールはサウジ側にあるというものであると、つけ加えた。
産業筋は、この数週間のうちに決まると期待している。
この提案は、利権更新交渉の中で、サウジの産業部門への投資増大というサウジの対日要求、特に、日本が、サウジにはSaudi
Aramco社や西側諸国の会社(複数)に利権を与える選択肢があると通告されたことへの返答として、示された。西側諸国の会社は、サウジでの石油、ガス両部門への投資提案を提出するため、サウジを訪問している。そのうち特に、フランスのTotal社がサウジ側に示した提案は、中立地帯での石油生産への参加を含んでいた。
石油産業の専門家は、中立地帯での石油生産の利権は、海外における数少ない日本の成功とみなされていると語っている。それ故、契約更改における日本の失敗は日本経済に悪影響があり、日本はなんとしても利権延長を達成したいと切望している。
日本は、昨年(1998年秋)アブダッラー皇太子が日本を訪問したときから、サウジとの経済通商関係の親密化に努力している。その努力の一つに、特に、アル・ジュバイル工業都市における「アッラージー」と「シャルク」に代表されるサウジ日本合弁事業が収めた成功に基づき、産業部門、とりわけ石油化学分野への投資増大が挙げられる。
従って、国際石油業界は、サウジと日本の間でアラビア石油株式会社(アル・カフジー)の利権契約に関する決定を待っている。消息筋は、(決定発表の)期限はこの9月末を超えることはないと指摘している。
決定は2つの選択肢に限られる。第1は、日本のために延長するが、サウジに大きな利益がもたらされるようにすること、もう一つは、破棄して別の相手に向かうかである。
石油業界は、Saudi
Aramcoが、利権契約破棄の場合最も可能性のある代替社であるという意味で、現在サウジと日本の間で行われている交渉で強い立場にあると信じている。
サウジは別の選択肢を探っているが、サウジは、サウジ人労働者の訓練や地域振興の分野、特に従業員とメンテに関して、アラビア石油自体がアル・カフジー地区における関わりを増やすことに加え、同国の産業部門に日本がより多くの投資を注入するコミットメントを待っている。
サウジ石油鉱物資源省は、契約破棄の場合に利権を与える受け皿会社を検討することに加え、アラビア石油の契約延長と破棄の両方に備え、検討チームを結成している。
アル・カフジーは、サウジとクウェートの間にある中立地帯で、30万b/dの石油を産する。アラビア石油の資本金は$
213
milで、日本が80%、残りをサウジとクウェートが半々ずつ所有する。
(翻訳:伊丹 和敬)